お気に入り度 Released Jul 2023 |
愛らしい社畜生物ピクミンのゲームも4作目なんですね。1,2がゲームキューブ、3がWii Uで発売と、任天堂としてはあまりヒットしなかったゲームハードで発売されていたからか、高い知名度の割にプレイした人はそれほど多くない印象がありました。1が発売されて22年経ってやっと4作目というのが、今回調べてビックリしました。任天堂内で5,6番手くらいの位置にいるゲームというイメージでしたが、こんなに発売期間が空いているのかと。
今作ではついに大ヒットハードswitchで発売となったからか、シリーズ人気拡大のチャンス!とばかりに、ピクミンシリーズで一番親切でプレイしやすいゲームになっています。
今作の大きな特徴として常にプレイヤーと共に行動するオッチンという救助犬の存在。引っこ抜いたり運んだり敵と戦ったりとあらゆる場面で大活躍で、正に頼れる相棒。ピクミン以上の性能を有しているので、ピクミンがあまりいない状態でも、オッチンさえいれば色んな状況でもそこそこ対応できるくらい。
特にピクミンを載せて移動できるというのが大きな強みです。大きな岩が転がってきたとき、プレイヤーはなんとか避けるものの、連れていたピクミンが押しつぶされてしまうという、ピクミン定番のやられ方があるのですが、オッチンに載せていればそういった事態を防ぐことができます。またピクミンを投げて攻撃するのも、意外と狙い通りに投げられないものですが、これもオッチンが敵に体当たりすれば、載せている全てのピクミンが敵に引っ付いて攻撃と、簡単操作で総攻撃ができるという。ピクミンに慣れていないプレイヤーでも直感的にプレイできるよう、遊びやすくなった印象でした。
また、この機能は禁忌なのではと、初めの頃は思った巻き戻し機能。ただピクミンを初めてプレイするとなると、水場には水ピクミン以外は入れていけないとか、初めからルールをしっかり理解できている人もあまりいないですわな。その時に大量のピクミンが死んでしまったら、リセットされるのが人情ってなものなので、それだったらこういう巻き戻し機能で、すぐにリトライさせてあげる方が手っ取り早く親切だなあと、ピクミンに慣れているはずなのに巻き戻し機能をガッツリ使いながら思いました。人間って同じ過ちを繰り返してしまうものなんだよ。
ゲーム内でやたら出てくる「ダンドリ」。実のところピクミンはアイテム集めや敵を倒すゲームではなく、限られた資源を効率よく管理して分配することで目的を達成する、リソース管理ゲームなんですよね。ただピクミン2以降、クリアまでの制限時間が無くなったため、そういった要素が薄れていた訳なのですが、今作では原点回帰とでもいうべきか、リソース管理、ゲーム内で言う「ダンドリ」を今作のテーマに置いているのが大きな特徴の一つです。
小難しい言葉でリソース管理と語ってますが、Aの作業をオッチンが行っている間に、Bの作業をピクミンが行うよう分担したり、水場での作業は水ピクミンにまかせるといった適切な作業の割り当てをしたり、アイテムを運ぶために、まず周りの敵を倒し、運ぶための道を作り、その後アイテムを運ぶといった作業の順序立てをしたりといった内容のことで、ゲームをしていけばイヤでもマスターできるようになります。
一定時間の内にアイテムを集める「ダンドリチャレンジ」、対戦相手より多くのアイテムを回収する「ダンドリバトル」、光ピクミンを用いていかに敵を効率よく倒すかが重要な防衛戦「夜の探索」。そして15日という制限時間内で全てのアイテムを集めるという、ピクミン1のルールで行う「オリマー遭難記」もございます。こういった色々なルールの遊びがあることで、中だるみせず飽きにくい構成になっていて、またそれらのゲームをクリアすることで、リソース管理のやり方を自然と覚えるようになり、無理なくストーリーを進めていけるような作りになっているのは素晴らしいなと思いました。
今回「ダンドリ」というテーマに絞ったゲームになったために、あまり良くないと思う部分もありました。上記の「ダンドリチャレンジ」や「ダンドリバトル」はゲームとしては面白くも、なんかどうも唐突感があるんですよね。ピクミンは小さくてかわいらしいユニークな世界観が魅力なのに、どうもそういう所でゲームの感じが強く出されてしまって、世界観に浸りにくいのが残念というか・・・これ伝わりますかね。
ピクミンのみならず最近の任天堂ゲームはどうもそういう傾向にあるように感じます。世界観よりゲームの合理性を重視しているような。いや、ゲームなんだからそれでいいだろとも思うのですが、もうちょっと良い見せ方をしてほしいんですよ。よく他のゲームであるような、チュートリアルで「ここでAボタンを押すんだ!」とか言われている気分。そうとしか説明できないから仕方ないけど、それ言われたらゲームの世界から現実に引き戻されて、台無しな感じになるよなあと。なんというかもっとプレイヤーをゲームの世界に浸らせてほしいんですわ。
あと前作ピクミン3では、画面分割して2人での協力プレイができました。しかし今作では協力プレイはできなくなり、代わりに石やアイテムを投げるだけになりました。オッチンという協力キャラが既にいるし、ゲームバランスの兼ね合い上無くなってしまったんでしょうね。ピクミン3は2人であーだこーだ言いながらプレイするのが楽しくて、初めての人がプレイする場合でも、もう一人が慣れていればフォローできるので、ピクミンを試しにやってみようとプレイするハードルが下がるところが大きな魅力でした。まあこれはswitchでも出たピクミン3を買ってくれということなんでしょう。
冒頭で述べたように、ピクミンというゲームはかわいらしいキャラクターにより知名度は高いものの、どういうゲームなのかというのは意外と知られていない印象がありました。今作はシリーズ最高の遊びやすさで新規ユーザーも入りやすく、また1,2,3もswitchで移植され、たくさんの人にピクミンシリーズをプレイしてもらい、ピクミンというゲームを大きく育てていこうという任天堂の意図が感じられます。あとは3以降新作の発売間隔が10年近く空いているのを、次作ではどれくらい縮められるかが大きなポイントになりそうです(笑)