Dead Flowers

B'z 「Brotherhood」

Brotherhood ジャケット

お気に入り度
★★★★

Released Jul 1999

1.F・E・A・R

2.ギリギリchop (Version 51)

3.Brotherhood

4.ながい愛

5.夢のような日々

6.銀の翼で翔べ

7.その手で触れてごらん

8.流れゆく日々

9.SKIN

10.イカせておくれ!

11.SHINE

初のベストアルバム『Pleasure』『Treasure』の特大ヒットの後から繰り出してきたこのアルバムは、そのベストアルバムきっかけで好きになったファンを置いてけぼりするような、ハードロック全開の音楽となりました。アルバム単位で聴いていた人にとっては驚きの方向性だったのかもしれませんが、前作『SURVIVE』期のシングル「ミエナイチカラ/MOVE」「Real Thing Shakes」「FIREBALL」「Calling」「Liar!Liar!」「さまよえる蒼い弾丸」がハードロック色が強めの音楽性だったので、布石自体はありましたね。こうしてみると『SURVIVE』期って凄い充実した時期だったなあ。アルバム未収録シングルが3枚もあるし。

ギター、ベース、ドラムのバンドサウンドを中心に、それ以外の外部音は必要最小限に留めていて、B'zってギター、ボーカルだけのユニットだったよね?と確認したくなるほど、並みのバンド以上にバンドしています。バンドサウンドがほとんどを占めるという点で、レッド・ツェッペリンの『Presence』を彷彿とさせます。アメリカの馬鹿テクバンドMr.Bigのリズム隊も一部参加しているからか、とにかく演奏がハイテクニック。

なので、楽曲の良さより演奏の良さが際立っていて、音自体を楽しむことを求められる作品でもあります。洋楽的というか。そういった点で、渋い、泥臭い、地味という印象で、いぶし銀という言葉がよく似合うアルバムですね。一番好きという人はそこまで多くないかもしれないけど、良いアルバムだと思う人は結構多いといったような。私もこういう挑戦的な姿勢を感じさせるアルバムって好きですね。


そんな個性際立つ音楽性のアルバムなんですが、それ以上に歌詞が印象的なアルバムでして、友情や絆、人生訓的な内容が目立ちます。これまでは男女の恋愛に翻弄される女々しい人物像が多かった稲葉の歌詞だったのが、このアルバムでは前向きな挑戦心も持ち合わせて、人との繋がりを大事にしながらも、他人に依存しすぎない自立心の高い人物像の歌詞になっています。完璧超人やん。だからなのか力強く感じる歌詞が多いですね。

あのスカした大向こうのやつらにすきなこと言わしてやれよ
あいつら人がコケるのを手ぐすねひいて待っているんだって
ヒマだから 人の不幸で笑いたくてしょうがないんだろう?
失うことにおびえながら 少しずつ失っていくんだ

「F・E・A・R」

ギリギリ崖の上を行くように
フラフラしたっていいじゃないかよ
それでも前に行くしかないんだから
大丈夫 僕の場合は。

「ギリギリchop」

うまくいってるかい なかなか大変だよな 全く
こっちだって毎日クタクタになってる
たまにはしょーもないハナシで盛り上がろう
言いたいこと言えるから いつも最後は笑顔で別れられる

「Brotherhood」

この国はもうダメだ これが口ぐせで
自分で自分をけなして 満足してハイ終しまい

わかるよ 気持ちは…
でもそろそろ この店を出ようよ

「銀の翼で翔べ」

最後の最後は一人ぼっち 胸の中にだけおまえがいる
どこにいようがかまいやしない 悔いなく輝けよ

「SHINE」

個人的にすごく好きな歌詞を挙げてみましたが、自分でもこんなにあることにビックリした。全然大丈夫そうじゃない歌詞の「ギリギリchop」、グチグチ言うだけの自分に活を入れてくれる「銀の翼で翔べ」、どれほど恵まれた繋がりがあったとしても、時には一人で立ち向かわなくてはならないと教えてくれる「SHINE」と、私が人生の苦難にあったときに何度も支えてくれた歌詞といっても過言ではないほど。

そんなポジティブな歌詞のアルバムなので、私個人としてはすごく励まされるアルバムという立ち位置です。その結果、落ち込んでいる時に聴くと歌詞がすごく沁みてくるので、このアルバムを聴きたくなる時は、私の精神状態があまり良くないんだなという指針の一つになっていたりします。メンタルヘルス的な一枚としてもおすすめです(笑)


私にとって歌詞がとても印象的なアルバムだったので、あんまり音楽的な視点での感想が無くてごめんね、松っちゃん。「夢のような日々」で、声いっぱいいっぱいだった松っちゃんのボーカルは味があって良かったと思うよ!