Dead Flowers

The Jimi Hendrix Experience「Are You Experienced」

Are You Experienced ジャケット

お気に入り度
★★★

Released May 1967

1.Foxy Lady

2.Manic Depression

3.Red House

4.Can You See Me

5.Love Or Confusion

6.I Don't Live Today

7.May This Be Love

8.Fire

9.Third Stone From the Sun

10.Remember

11.Are You Experienced?

CD Bonus

12.Hey Joe

13.Stone Free

14.Purple Haze

15.51st Anniversary

16.The Wind Cries Mary

17.Highway Chile

伝説のギタリスト、ジミヘンことジミ・ヘンドリックスが率いるバンドの1stアルバム。ロックギターを一変させた偉大なミュージシャンの作品ってことで、すんごく期待してこの1stアルバム『Are You Experienced』を聴いたわけですが、こう思いました。「思ったより普通やん」。たぶん後追いで聴いた8割の人は同じことを感じたと思います。

というのも、何十年も前のミュージシャンだし、ジミヘンに影響を受けて彼の奏法を取り入れた後発のミュージシャンはたくさんいた結果、ジミヘンのギターワークは普遍的なものになっていたため、それは当たり前だと言えます。むしろドラム担当ミッチ・ミッチェルのフィルイン入れまくりプレイの方がインパクトがあった(笑)

なので、ジミヘンをリアルタイムで聴いた人ならともかく、後追いの人はジミヘンの衝撃性というのはあまり伝わりにくいと思います。60年代の作品らしく曲も3分~5分くらいのコンパクトな長さなので、良くも悪くも綺麗にまとまってしまった感じがありますね。


私が感じたジミヘンの凄さというのは、エレクトリックギターならではの音や奏法を生み出していったところが一番偉大な点だったのかなと思います。それまでのエレキの音はブルースやフォーク、カントリーといった伝統的なアコースティックギターの延長線だったのですが、ジミヘンはフィードバックサウンドを積極的に活用してノイズみたいな音を出してみたり、ギターのアームで大胆なくらい音を変調させてみたり、ファズやワウといったエフェクターを使い倒してギターらしからぬ音を作ってみたりと、まあこんな音はエレキでしか出せない音だなと。

例えが古くて申し訳ないのですが、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのギター、トム・モレロのスクラッチ奏法を始めとした斬新なサウンドに、私は衝撃を受けたのですが、当時の人がジミヘンに感じたのはこの衝撃に近いのかもしれないですね。

トム・モレロは斬新なサウンドを出しながらも、基本アドリブを入れずきっちりとギターを弾くスタイルですが、ジミヘンの場合、即興のフレーズをギターでバンバン弾いている上に、エレキでしか出せないような音も即興で生み出してみたりと、アドリブの能力が極めて高かったのも特徴でした。フィードバックとか大変扱いにくいものも、見事にコントロールしているのが凄い。こういう「飛び道具」になりがちな音を、曲の演出として成り立たせているのが凄さの一つでしょう。

あと曲も意外とユニークですね。「思ったより普通やん」という感想を述べましたが、確かに衝撃的とまでは行かないけれど、ブルースとサイケデリック色が強く出たジミヘンの音楽性に類似する音楽もなかなか他では見当たらないというか。ジミヘンのギタープレイに依るところが大きいんでしょうか。


フィードバックサウンドを駆使した「Foxy Lady」、あまり歪ませないギターが印象的なサイケ曲「Love Or Confusion」、逆回転サウンドとスクラッチサウンドが面白い「Are You Experienced?」が私の好きな曲。なんかスケールがデカいサイケ/ガレージのアルバムなのではと思いました。

神格化され続けるジミヘン

以下ジミヘンへの神格化について、不平不満がつらつらと書かれています。


「神格化」したものほど嫌いなものはありません。過剰なほど持ち上げているところもそうだけど、何より批判や疑問をしようものなら、お前は何も分かっていない・良さが分からないお前がおかしいと総叩きを行い、批判や疑問を一切受け付けないところが本当に無理。何をそんな必死になるんでしょうかね。「神格化」されているもの自体は何も悪くないのに、やたら持ち上げて批判すること自体を許さない連中のせいで、そのもの自体が嫌いになってしまうというのが最近多いですね・・・本当に害悪な連中だと思う。

ジミヘンもそんな「神格化」されてしまっている代表例ですね。ジミヘンを評する時に「天才」とか「表現力が凄い」、「革新的」といった言葉がよく使われていまして、何をもって「天才」とか「表現力が凄い」と感じたのか気になるじゃないですか。しかしそれを具体的に説明しているのはほとんど見たことが無い。挙句の果てには「宇宙」とか評しているのも見たことがあります。オマエ頭ラリってんのかと言いたくなるわ。

何故具体的に説明できないかというと、実はジミヘンの良さを何も分かっていないからだと思います。それなら分からないで済ませておけば良いものの、何故「天才」とか言ってしまうのでしょうか。その理由は、ジミヘンはエリック・クラプトンやジェフ・ベックを初め、多くの著名なロックミュージシャンから「天才」と評され、ジャズの帝王マイルス・デイヴィスまでも賛辞を送っていたと言われているからです。要は付和雷同っていうことです。「宇宙」と評しているのも、どこかのミュージシャンがそう評したのをそのままパクっているんでしょうね。

正直ジミヘンの良さはよく分からないけど、大御所のミュージシャンが評価しているんだから、ジミヘンは凄いに違いないとか思い込んでるのでしょう。自分を持ってなさすぎだろ。情けなさすぎて哀れに思えてくる。盲目的な信者というのはこういうことを指すんでしょうね。大御所ミュージシャンの評価という強力な後ろ盾があるからか、他人がジミヘンの良さがよく分からないとか言おうものなら、「感性を磨け」とか「センスが無い」とか、やたら偉そうな口調で攻撃するのも大きな特徴。yahoo知恵袋とか見ると、そういうのがいっぱいいるから面白いですよ!

ジミヘンのみならずこういう権威主義というのはよくある光景ですが、ロックが主流の音楽ではなくなったのは、こういった権威主義が蔓延ってしまったことが大きな要因の一つだったように思います。例えばロックのアイコンであるギターが、未だに1950~1960年代のヴィンテージギターや真空管アンプをありがたがっている状況ですしね・・・



ジミヘンのアルバムレビューではなく、ジミヘン自身のレビューになってしまった気がする・・・

あ、念のために言っておくけど、ジミヘンファン全員を盲目的な信者と言っている訳じゃないよ!自分の言葉でジミヘンの良さを具体的に語れないくせに、付和雷同するやつのことを批判しているだけなんで!と保険をかけておく。