Dead Flowers

すぎやまこういち「ドラゴンクエスト ゲーム音源大全集1」

ドラゴンクエスト ゲーム音源大全集1 ジャケット

お気に入り度
★★★★

Released Dec 2001

Disc 1

1.ファミコン版『ドラゴンクエストI』ゲーム・オリジナル・サウンド・ストーリー

2.ファミコン版『ドラゴンクエストII』ゲーム・オリジナル・サウンド・ストーリー

Disc 2

1.ファミコン版『ドラゴンクエストIII』ゲーム・オリジナル・サウンド・ストーリー

2.ファミコン版『ドラゴンクエストIV』オープニング - 間奏曲

3.ファミコン版『ドラゴンクエストIV』第一章 - 王宮の戦士たち

4.ファミコン版『ドラゴンクエストIV』第二章 - おてんば姫の冒険

5.ファミコン版『ドラゴンクエストIV』第三章 - 武器商人トルネコ

6.ファミコン版『ドラゴンクエストIV』第四章 - モンバーバラの姉妹

7.ファミコン版『ドラゴンクエストIV』第五章 - 導かれし者たち

8.ファミコン版『ドラゴンクエストIV』フィナーレ

効果音とゲーム音楽

ゲームの変化や状況を知らせる効果音。効用性を考えるとゲーム音楽(BGM)より重要度が高いはずなんですが、ことゲームのサントラにおいては不遇と言えるような立ち位置でして、ほとんどの場合ゲームのサントラには効果音は収録されず、仮に収録されても「SE集」という扱いで無造作に突っ込まれているのが現状で、効果音好きの私にとってはさみしい気持ちがあったりします。

効果音もゲームの世界観を構築するのに一役買ってますので、音楽担当の人も効果音作成には力は入れていると思うんですが・・・マリオのコイン音やドラクエのレベルアップ音なんてそのゲームの代名詞と言っても過言ではないかと。

それにゲーム音楽は効果音ありきの音楽だと思っていて、効果音が鳴っているのに音楽のせいで聴こえにくいというのはあってはならない訳で、そのため効果音と音楽の音が被らないように、音の帯域や周波数をうまく切り分けたりなどなど、効果音が鳴ることを前提にゲーム音楽は作曲していると推測しております。

なので効果音がないゲーム音楽はどうも物足りない印象でして、臨場感が足りないというか・・・これは効果音というパーカッションが無くなっているために感じてしまうことなのかなと考えております。


やっと本題の『ドラゴンクエスト ゲーム音源大全集1』に。これはファミコン版のドラクエ1~4の音楽が収録されているのですが、効果音とゲーム音楽が混ぜ込ぜになった珍しいもの。80年代のゲームサントラはこういうのってあったらしいですね。細野晴臣が関わったナムコの『ビデオ・ゲーム・ミュージック』もそういう作風ですし。

なので、曲それぞれを楽しむというより、音でゲームを追体験するドラゴンクエストという感じで、誰かがゲームをプレイしているのを音だけ聞いているような感覚というか。プレイ済みの人ならば、今どこにいてどういうシーンなのかがなんとなく分かって面白いです。ゲームとはまた違う、音楽と効果音で描く音物語で、没入感のある作品だと思いました。ただ曲がズラッと並べている普通のサントラよりよっぽど面白いと思うんですがね・・・ゲームの音楽と効果音はゲームの映像と強く結びついているので、ゲームをプレイした人にとっては音だけでも映像的なイメージがしやすいという、大きなメリットをもっと生かす作品が出ても良いんじゃないかと、この作品を聴いて強く思う所存でございます。

ドラゴンクエストI

初代だからなのかもしれませんが、素朴な曲の印象。RPGでのBGMの方法論なんて無かった時代なので(というか、ドラクエがその方法論を築き上げた)、なかなかユニークな部分もあったりします。

戦闘曲とか一音を長く出してメロディーを紡ぐという結構変わった曲ですし、ダンジョンの曲は階層が下がるほど曲のキーもどんどん下がっていくアレンジになっていて、下に潜るほど緊張感が増していく演出になっています。同じ曲でもアレンジだけで恐怖や不安を演出できるいいアイデアだと思うのですが、ドラクエではこの作品のみのアイデアですね。他のゲームもパクって良さそうなものなのに。曲作りの制限が色々入ってしまうんでしょうかね。

ドラゴンクエストII

音が分厚くなってます。クリアするのが難しいドラクエ2のイメージかもしれませんが、寂しい・厳しいメロディの曲が多い印象。序盤のフィールド曲なんて不安を感じる物寂しい曲ですし、通常戦闘曲は苦境を感じさせるようなメロディですし・・・だからこそ3人が仲間になったフィールド曲や、ふっかつのじゅもんを入力する曲のポップさがより映えている気がします。初めてプレイしたRPGなので、個人的に色々思い出深いです。

ドラゴンクエストIII

ドラクエ3のテーマ性からなのか、勇敢で壮大な曲のイメージが多い。戦闘の呪文詠唱の効果音にリバーブがかかるようになって臨場感も増しています。

通常戦闘、フィールド曲、ラスボス戦の勇敢でかっこいい雰囲気、壮大で感動的なラーミアの曲など、ゲームのみならずドラクエの音楽もこの作品でイメージを確立されたのではないでしょうか。高校野球の応援歌に通常戦闘の曲が使われたりと、知名度の高い曲が多いです。

ドラゴンクエストIV

章立てされたストーリーや仲間キャラの多さによるものか、バラエティ豊かになってますね。効果音も右から左に流れたりなど、ステレオを活用するようになってるような。

個人的にドラクエ戦闘曲のナンバーワンは、ドラクエ4の通常戦闘ですね。テンポの良さと強弱を大きく付けた緊張と緩和の雰囲気が素晴らしいし、中盤からの盛り上がりと変拍子感か最高です。オーケストラになったプレステ版も悪くないけど、強弱感がはっきりしているファミコン版の方が良いと思う。マーニャ・ミネアの4章で流れるフィールド曲と戦闘曲もお気に入り。

各章のテーマ曲によるバラエティの豊かさ、戦闘曲や塔の曲などでのリズムの冒険感から、個人的にドラクエ音楽のすぎやまこういち全盛期はこの作品ではないかと思ってます。気球の曲とかやたら長尺の曲で、そんなに長くなくても良いやろと笑ってしまいました。