Dead Flowers

インターネットでの実名と匿名

インターネットが人々の生活に無くてはならないインフラと化して、もう長い年月が経った昨今、ネットによる問題が起こった時によくインターネットは匿名でやるのは止めて、実名にするべきだという論調が出てくることがあります。

主な理由として挙げられるのが誹謗中傷による問題。何か問題を起こしたり失敗した人に対して、本人のtwitterといったSNSアカウントに罵詈雑言を浴びせ、ひどい時は実生活にも影響を及ぼすものもあったりするようで、気の毒な話ですね・・・とは思いません。何故なら実名でネットを行うことによるデメリットが表面化しただけに過ぎないからだと考えているからです。

ネット上で実名を公開するメリットとデメリット

インターネットというのはそもそも匿名で行うのが当たり前でした。それがmixiやfacebookを皮切りに実名でネットする人が多くなったように思います。

その理由はネット人口増加によるビジネスチャンスが出てきたからでしょう。ネット上で名前を売ることで仕事に繋がったりする可能性があったため、実名で行うメリットが大きくなってきたのが背景にあると思います。

すでに有名人であれば効果は絶大ですし、ちょっとした発言でも反応が大きいため、有名人にとっては実名のネットは面白く感じるものなんでしょうね。

ただデメリットはそのメリットが反転したようなもので、実際に問題や失敗を起こしたり、ネット上で失言したりなどすると、そのままマイナスの反応が大きく跳ね返ってくるという。大きなマイナスの反応に耐えられないために、誹謗中傷は止めてほしいという気持ちは分かりますが、正直実名でネットする上で避けられないリスクだと思うし、どこまで真剣にそのリスクを考慮していたのか疑問に思うことも少なくありません。

もっと厳しく言うと、さんざん実名によるメリットを享受しておきながら、いざデメリットが表面化してから匿名は良くないとか主張されても、ずいぶん都合のいいことを言うもんだとしか思わないと言うか・・・実名で行うことを別に強制していないし、自分の意志で決定したはずなのに。

匿名の有用性

インターネットが匿名ベースの文化になったのは、意味なくそうなったわけではなく、匿名にすることでプライバシーが守られ、安心してネット上でのコミュニケーションが取れるというのが大きな理由だったと思います。また匿名によって年齢や立場といったものから解放され、大学教授と中学生でも同じ立ち位置でやり取りができるというのもすごく大きな意義があったでしょう。「誰」がしゃべったでなく、「何」をしゃべったかということが重要視されるという。

実名だと当然そういったメリットが無くなり、権威主義的な雰囲気になるのは目に見えてます。権力や影響力のある人にとっては実名の方がメリットが大きいんでしょうね。つまり実名にすべきだという人たちは、どういった立ち位置の人なのか透けて見えるような・・・ぶっちゃけ有名人のSNSとかつまらないよね。匿名でやったら全く反応が無いようなしょうもない内容でも、ファンはチヤホヤしてくれるんだから、そりゃ面白い内容書こうとか思わなくなるよな。

誹謗中傷といった荒らし行為について

とか言うと、匿名による誹謗中傷は許されるのか。という話になりますが、もちろん誹謗中傷はダメだと思います。が、気軽に発言できるネット上で誹謗中傷を無くすなんて、窃盗や殺人行為が無くならないのと同じく土台無理な話。仮に実名が義務化されたところで、うまく抜け穴を使って誹謗中傷する輩は必ず出てくるでしょうね。

なので誹謗中傷はどうしても起こってしまうものだと捉えて、できるだけ個人情報は出さないようにしてプライバシーを守ることで、自衛をしていくのが無難だと思います。そこに注意しないってことは、家のドアや窓を開けっ放しで外出した結果泥棒に入られたようなもので、気の毒だと思いつつあんまり同情できないのが正直な気持ちです。

つまりのところ

今までネットは匿名をベースに文化やルールが成り立っていたのに、後から勝手に顔や名前を公開して入ってきた輩が「匿名は卑怯だ!」「実名にしろ!」とか言われるのが本当に気に食わない。