Dead Flowers

Joy Division「Substance」

Substance ジャケット

お気に入り度
★★★★

Released Jul 1988

1.Warsaw

2.Leaders of Men

3.Digital

4.Autosuggestion

5.Transmission

6.She's Lost Control

7.Incubation

8.Dead Souls

9.Atmosphere

10.Love Will Tear Us Apart

11.No Love Lost

12.Failures

13.Glass

14.From Safety to Where

15.Novelty

16.Komakino

17.As You Said

18.These Days

19.Love Will Tear Us Apart (Pennine version)

70年代後半に活躍したイギリスの伝説的ロックバンド、ジョイ・ディヴィジョン。パンキッシュながらダークで空虚なサウンドが特徴です。このバンドの影響力というのはかなり大きく、80年代のゴシックサウンドや2000年代のロックリバイバルなど様々なシーンで彼らの影響を受けたミュージシャンが現れています。

クラウトロックさながらのシンプルなビートを徹底的に刻むドラム、高音を多用したフレーズをガンガン弾いてメロディを引っ張っていくベース、単音のフレーズを淡々と弾いて行くだけなのに妙にかっこいいフレーズを弾くギター、低音ボーカルとどん詰まりな世界観の歌詞でダークな雰囲気を演出するボーカルと、演奏・歌唱力は大したことないけれど、本当にセンスがあって個性的な面々です。

そんな4人が揃って音を鳴らしても、破綻することなくダークで空虚な(スカスカとも言う)唯一無二の世界観になるのだから、本当にバンドマジックの賜物でしかないと言うか。ダークな世界観のバンドは数多くありますが、そこにスカスカでヘタウマな部分を音楽性として成り立たせているのはこのバンドだけなのではと思います。


今回紹介するのは「Dead Souls」以外はオリジナルアルバムに未収録また別バージョンという価値の高いコンピレーションで、「Transmission」「Atmosphere」「Love Will Tear Us Apart」といった代表曲も収められた、ジョイ・ディヴィジョン入門にもうってつけのアルバム。このバンドはシングル曲をオリジナルアルバムに収録していなかったので、そんなシングル曲をまとめて聴けるという点でも重要性が高いです。最近のバージョンでは「As You Said」「Love Will Tear Us Apart (Pennine version)」が追加収録されているようですね。

オリジナルアルバム2作と違って、プロデューサーのマーティン・ハネットによる音加工がそんなに入っていない楽曲が多く、ジョイ・ディヴィジョンというバンドの姿を把握しやすいサウンドという点も入門向けのポイントだと思います。

「Warsaw」などパンクそのままの初期から、「Transmission」などダークで密室的な中期、「Atmosphere」といった荘重で神聖さすら感じる後期と、劇的なサウンドの変化を俯瞰できるのもこのアルバムのいいところ。マーティン・ハネットの貢献も大きいけど、わずか3年ながらここまでの大きな変貌は、かのビートルズに匹敵するレベルだったと思う。