Dead Flowers

NEU! 「NEU! 2」

neu!2 ジャケット

お気に入り度
★★★★☆

Released 1973 May

1.Für Immer

2.Spitzenqualität

3.Gedenkminute

4.Lila Engel

5.Neuschnee 78

6.Super 16

7.Neuschnee

8.Cassetto

9.Super 78

10.Hallo Excentrico!

11.Super

ドイツのバンド、ノイ!の2ndアルバム。前半部分は前作と基本的に音楽性は変わらず若干洗練されたという趣きで、単調な8ビートのドラムを延々と繰り返す中、効果音的なギターが入ってくる「Hallogallo」の続編と言える「Für Immer」、現実音を使ったミュージックコンクレート曲「Gedenkminute」といったように、前作を気に入った人ならまず間違いなく気に入るアルバムかと思います。だからなのか、ジャケットも前作の文字色を変えてよれよれに書かれた2の文字を足しただけ。なんだこれ。

前半の4曲はまあ今まで通りのノイ!なのですが、後半の5曲目から風向きが怪しくなります。そしてここからが今作最大の聴きどころでもあります。


なんとこいつらはアルバムの曲が足りないということで、残っている曲を早回し・遅回ししたバージョンを入れるという、夏休みの宿題が終わっていない小学生的発想を現実にやってしまいました。本当にそのまま早回ししただけの曲(しかも音が飛ぶ)があったりと、とりあえず体裁だけ整えた感満載の後半部分ですが、意外にも結構面白く聴けたりするんです。

ノイ!の音楽はギターとドラムだけという、音楽における最小限まで切り詰めたシンプルな構成になっていたおかげで、早回し・遅回しにしてもあまり曲が破綻しないのが凄いところ。シンプル故に曲の構造がしっかりしているからだと思います。

まあこんな取ってつけたような曲の水増しが、リミックスの元祖だとか言われるから、世の中捉え方次第だなと思う。当の本人らはそんな高尚な意識なんか無く、鼻ほじりながら作っていただろうに。


あまり言及されないのですが、早回し・遅回しの元となった2曲「Neuschnee」「Super」が個人的にノイ!の代表曲と思っているくらい大好きな名曲で、「Neuschnee」は「Hallogallo」の世界観を3分にまとめ上げた曲で、クリーンで伸びやかなギターと軽やかなドラムフレーズが本当に気持ち良い。「Super」は歪んだギターが特徴の高揚感があるパンキッシュナンバーですが、ギコギコ鳴るワウギターと推進力のあるドラムがまたこれも気持ち良いです。ひたすら叫んでいるだけのボーカルを聴くたびに、歌詞というのは音楽の必須要素ではないんだなあと教えてくれます。

次作『NEU! 75』はこの2曲の音楽性をベースに作られており、そういった意味でノイ!というバンドを体現した2曲だと思うので、ノイ!を聴いたことが無い人は、「Hallogallo」よりむしろ「Neuschnee」「Super」の方がノイ!入門として適切ではないかと思います。


静謐な曲が多くミュージックコンクレートの要素が多かった前作は、ギターのミヒャエル・ローターの色が強かった作品でしたが、今作はドラムの名演や破天荒なアルバム構成から、ドラムのクラウス・ディンガーの色が強く出た作品と言えるでしょう。