お気に入り度 Released Aug 2004 |
1.asgard
2.オンリー ロンリー グローリー
3.乗車権
4.ギルド
5.embrace
6.sailing day
7.同じドアをくぐれたら
8.車輪の唄
9.スノースマイル
10.レム
11.fire sign
12.太陽
13.ロストマン
14.midgard
今ではすっかり大物バンド感すら出てきた、バンプオブチキンのメジャー2ndアルバム。前作から2年半ぶりということもあり、新進気鋭のバンドにしてはえらいゆっくりとしたリリースペースですごく待たされた感があった。世界的人気外人バンドかと思ったものです。
そんな待たされている感じがあったのは、それまでのシングルの充実ぶりによる期待感があったためで、そして満を持して出された今作は、その期待に応えてくれた素晴らしい作品になっています。
発売された2004年は、数年前にこのバンプやアジアンカンフージェネレーションのヒットにより、彼らのような疾走感のあるバンドサウンドを、ギターロックという名前で一種の流行になっていたと記憶しています。そのためバンプやアジカンもどきの音楽性を持つバンドまで登場しつつあった時で、当時ひねくれまくっていた私は安易に人気バンドのマネしやがってとか、そもそもロックはギター使うのが当たり前なんだからギターロックという言葉がそもそも変だとか、色々と毒づいていました。
そのムーブメントのきっかけとなったバンプ自身は、そんな流行をあざ笑うかのように、前作のような疾走感のあるロックではなく、アコースティックギターを基調としたじっくり聴かせる作風に変化していました。流行に埋没しないところはバンドとしての格の違いを見せつけているようであり、痛快に感じました。今作はそんなバンプの変化を見事にとらえた名作です。
バンプが次の段階に進んだと感じたバラードシングル「スノースマイル」、軽快なカントリーで別れを描いた「車輪の歌」、人生を仕事と表現して当時の(今も?)日本の空虚な社会を皮肉った「ギルド」、最小限の音でじんわり心に響く「太陽」など、アコースティック色の強い楽曲はこのアルバムならではだと思います。
もちろん今までのバンプのような「オンリー ロンリー グローリー」「sailing day」、ダークな雰囲気が新機軸の「乗車権」とロック色の強い曲もあり、緩急のバランスもしっかりとれています。この後のバンプは年齢によるところも大きいんだろうけど、どうも静の部分が強くなってしまい、スカッと聴ける感じではなくなってしまうんですよね・・・
そしてこのアルバムのハイライトになるのが名曲「ロストマン」。あまり歌詞に感情移入しないタイプなのですが、人生で色々あったときに励ましてくれた曲であり、カラオケでも気軽に歌えないくらい個人的に思い出深い一曲。ロストマン気付いたろう 僕らが丁寧に切り取った その絵の名は思い出
間違った旅路の果てに 正しさを祈りながら
のあたりなんてもう冷静に聴けないくらい。もちろん曲としても素晴らしいロックバラードで、後半にかけての盛り上がりはすごくドラマチックです。
とまあ、良い曲が充実した文句なしの名作なのですが、個人的に不満なのが最初と最後にある短いインスト曲の存在。なんかコンセプトアルバムっぽくするために取ってつけたような感があって、どうも必要性を感じないんですよね。「オンリー ロンリー グローリー」「ロストマン」がそれぞれアルバム最初と最後の曲としてピッタリなところもこの考えに拍車をかけていますし。せっかくの「ロストマン」の余韻をスパッと消されてしまうのが、すごくもったいないと思う。