お気に入り度 Released Apr 2014 |
"センス"という言葉は「生まれ持ったもの」「その人ならではのもの」、一言でいえば「才能」というイメージを持つ人は多いと思う。そんなやっかいな言葉であるセンスについて、すごく感銘を受けたのが今回紹介する本です。
この本に書かれていることをざっくりまとめると、センスとは「数値化できない物事の良し悪しを判断し、最適化する能力」と定義しています。ではどうやって良し悪しを判断するのかと言うと、「知識を蓄えて、普通いわゆる真ん中を知ることによって、良し悪しが判断できる」と述べています。
つまりセンスというものは、一線を画すひらめきというものではなく、知識に基づいて判断するものであり、誰でも身につけられるものであるということです。
あんまりピンとこない可能性もありますので、ひとつなんでもいいのですが、例として知り合いにピッタリの服を選ぶという状況を挙げてみましょう。たかが服選びですが、これもセンスを必要とするものです。値段が高い服を薦めれば良いって訳ではないですし、人によって好みの服も分かれてきます。つまりおススメを選んであげるだけの行為においても、数値化できない色々な要素が絡み合っています。
ではどうやって服選びをしてあげるのかというと、やはりこれは服の知識になるんですね。色んな服を知ることで服の平均値を知ることができるようになり、着心地やデザインなどなどの情報が蓄積され、それらの情報をもとに、着る人の嗜好や客観的に似合っている服のジャンルなどを加味して、一番のベストを決めることができるようになるといった具合に。そうして決定したものが、その人が持つ服選びのセンスになるんですね。
仕事も同じだと思います。社会人の多くは別に才能があったり頭が良いからという理由で仕事ができているのではなく、仕事に関する知識が人並み以上にあって、その知識を正しい判断で効率よく使うことができるため、仕事ができているというだけなんですよね。
私の知り合いにデザイナーの方がいまして、デザイナーなんてまさしくセンスや才能を必要とする職業だと思っていたのですが、その方曰く、ある程度レベルのデザイナーならば、デザインのルールや知識を仕事を通じて身につけていけば、才能関係なく誰でもなれるとおっしゃってましたが、これはまさしく上記の一例だと思います。
センスというものは今まで才能がないと身につけられないものだと思っていたことが、実は才能が無くても身につけられるということがこの本で理解でき、すごく励まされましたが、同時にセンスが無いから今までできないと言ってたことが、これからは易々とセンスのせいにはできないということでもあり、身を引き締められる話でもあると感じました。