Dead Flowers

スクウェア「ファイナルファンタジー7」

ファイナルファンタジー7 ジャケット

お気に入り度
★★★★☆

Released Jan 1997

プレイステーション、セガサターン、ニンテンドウ64が覇権を争った3D次世代ゲーム機戦争において、プレイステーションを勝利に導いたと言われるゲーム史に名を残す作品であり、ファイナルファンタジーがドラゴンクエストと双璧をなすRPGと見なされるようになった、FFシリーズにおいてもまさにターニングポイントといえる作品。

2020年にリメイクが出たということもあって、私も20年ぶりにオリジナル版の方をプレイしてみました。そのときプレイしてみて分かった、今だからこそ感じるFF7の面白さについて書いていこうと思います。

当時の衝撃

私はFF7リアルタイム世代で、初めてプレイした3Dゲームということもあり、このゲームが与えたインパクトは相当なものでした。スーファミしか知らなかった人間からすると、美麗な3Dで描かれたオープニングムービーはまさに映画のようであり、タイトルロゴが出た場面のカッコよさときたら、もうワクワクしかありませんでした。

3Dということで奥行きという概念が発生するわけですが、これに私は苦労しました。オープニング後に自分で動かせるようになったとき、まず奥の部屋に入る必要があるのですが、これに私は奥に進むということが分からなかったので、10分くらい右往左往していました(マジです)。スーファミだと真上や斜め上からのアングルで上下左右に動かすというのが常なので、真横からのアングルで上キーを押して奥に進むというのは、コペルニクス的転回といってもいいほど衝撃的でした。だってスーファミ感覚だと真横からのアングルで上キー押すと、上にジャンプしてしまうって考えますもん。ストリートファイター2みたいに。

ff7 オープニング後画面
FF7 オープニング後の画面。ここで10分くらい右往左往。

グラフィック

キャラクター

まず印象的だったのは、キャラクターデザインが現代的になったことでしたね。スーファミまでのFFのキャラクターデザインをしていた天野喜孝の絵はあまりにもアーティスティックで、子供には理解しにくい絵柄でしたから。FF4やFF6のメニューでキャラの絵が見えるのですが、初めに見たときはキャラと絵が一致せず誰やこいつって思いましたよ。

FF7はノムリッシュこと野村哲也のデザインになり、キャラのカッコよさやかわいさがグッと分かりやすくなったので、私を含めこちらの方がずっとウケは良かったと思います。FF7はSF的な要素もあったので、ファンタジックな天野のデザインより、今っぽいデザインを書ける野村の方がフィットしていました。野村のデザインも今もよく見る、このキャラカッコいいでっしゃろの絵柄ではなく、割と目が大きめな漫画っぽい作風です。まだノムリッシュデザインを確立していない時期だったのかもしれませんが、私はこの作風の方が好きですね。

3D表現

今となっては(当時も?)評判の悪い、移動時のカクカクポリゴンは後追い世代にはやっぱりきついでしょうね。けれどもカクカクポリゴン故にお人形感があり、リアクションや表情が分かりやすいこともあって、ちょっと愛らしさも感じるんですよね。リアルタイム世代のひいき目かもしれませんが(笑)。

ムービーは今見ても鑑賞に堪えうる出来だと思います。今回気づいたのですが、ムービーはリアルな感じではありますが、FF8以降と違って割とアニメっぽいデフォルメ感もあるんですよね。カクカクポリゴンもそうですが、当時の技術力の兼ね合いからこういったデフォルメ的表現をせざるを得なかったのだと思いますが、結果的に功を奏しているように感じます。FF8以降は確かによりリアルな表現になったのですが、それ故に表情の固さなどリアルに表現できていない部分が気になるようになってしまい、逆に安っぽく感じてしまうことがあるんですよね。これは現在のFFまで続いている問題だと思います。あとムービーの時間も今となっては意外と短めです。オープニングムービーも割とあっさりめで、FF8以降のクソ長ムービーではなく、あくまでゲームの中のムービーに徹してます。これも容量の都合上あまり長めのムービーは入れられなかったんでしょうね。

ff7 オープニング
FF7 オープニング。キャラ造形がアニメ感ある。

ゲームシステム

正直ゲームシステムは目新しいものはないです。リミットブレイクもマテリアもおそらくスーファミでも実装できたシステムだと思います。というより、FF7のバトル周りのシステムはスーファミ以前のFFと何ら変わりはないです。それ故に、見た目だけ3Dになっているけれど、やってることは2Dのスーファミと変わらないという批判もありました。

ただでも私はそこがポイントだと思うんですね。当時は上記の私のように3Dでどのように動かせば分からない人がいるほど、まだまだ3Dのゲームなんて浸透していない時代。バトルまで3Dならではのシステムになると、新しく慣れないといけない要素が多くなってしまい、ゲームを楽しむハードルが上がってしまうということをスクウェアは懸念していたのではないでしょうか。FF7の半年前に出た名作「マリオ64」が、2Dマリオレベルの商業的成功に至らなかったのは、3Dを突き詰めた結果、操作が難しかったり、どのようにクリアしたらいいか分からなかったりなど、楽しむハードルが上がってしまったことが大きな理由ですし、当時は3Dに慣れていないユーザーに対してどう3Dを楽しんでもらうかというのは重要な要素だったと思います。

メニューもFF伝統の青ウィンドウで、メニューでの情報の見せ方も過去作品と同じという点からも、FF7は変えるところは思い切り変えるけど、それ以外は今までのを踏襲するという意識はかなり高かったのではと推測しています。後のFF8から青ウィンドウがなくなったりとメニュー周りがかなり変化したのを見ると、そう実感してしまいます。

スーファミと変わりないとはいえ、マテリアは柔軟な戦略性があって面白いシステムです。ただFF5のようにバトルシステムを駆使して倒す敵がほとんどいなかったのは残念ですね。隠しボスも戦略よりごり押しで倒してしまいますし。

ff7 メニュー画面
FF7 メニュー画面。古き良きメニューデザイン。

FF7ならではの凄さ

FF7をプレイしていくうちに感じたのは、あらゆる楽しさやアイデアが目いっぱい詰め込まれており、そんな膨大なデータによる世界の広さを感じました。特に中盤から使えるゴールドソーサーというアトラクションには多数のミニゲームがあり、育成要素のあるチョコボレースをメインに、潜水艦、バイク、スノボー、シューティングなど、ミニゲームにしてはえらい力の入ったものが多く、それらのミニゲームだけで何時間も楽しめるような大盤振る舞いでした。

FF8やFF9みたいにラストに街に入れないということもないし、FF10みたいに飛空艇での移動がなくなるということもなく、3Dの広大な世界を自由に駆け回れるというのは、当時は当たり前に思っていたのですが、今となってはすごく貴重な要素だと思います。

まとめ

こうして振り返ってみると、FF7は時期に恵まれたというか、現在みたいにリアルな3Dを求められず、2Dと3Dの良いところを取り入れることができたゲームなんだなと感じます。

3Dやムービーの導入、データの大容量化により、新しくスケールの大きさを感じさせる作品となりながらも、スーファミまでの2Dファイナルファンタジーの要素も色濃く残ったため、多くの人に馴染める作品でもあったこと、そして当時の技術的な制限によってリアルな3D表現はできなかったが、それも長所として、親しみやすくかつ広大な世界を表現するにはちょうどいい(ゲーム開発の工数がかかりすぎない)グラフィックだったという幸運も手伝って、ここまでのインパクトを与えた作品になったと言えるでしょう。

その後のFFがFF7以上の反響が無かったのは、ゲームとしての出来以上に、3Dのリアルさやムービーのインパクトに意識が集中してしまい、FF7にはあった親しみや馴染みやすさが無くなってしまったことが、FFブランドの低下に繋がってしまったのではないかと私は思います。そういう意味で現在でもFF7唯一無二の部分と言えるのは、そういったスケールの大きさと親しみやすさの両立にあるのではないでしょうか。

おまけ:リメイク版について

あ、FF7リメイクについてですが、個人的にゲームシステムが変わってしまったリメイクは、それはもう別のゲームという認識なので、それゆえに興味も出ずプレイしておりません。

決定的だったのは、リメイク1作目はミッドガル脱出までのシナリオだということ。いやいや、FF7最大の見どころは、オープニングやエンディング、エアリス死亡シーンではなく、ミッドガル脱出した後に初めてフィールドに出たときの解放感でしょうが!壮大なフィールド音楽を聴きながら広大な3Dフィールドにワクワクしつつ、ミッドガル脱出の達成感をかみしめ、次の目的地に目指す道中が最大の感動どころじゃないですか!

そこをぶつ切りにされたら、感動も楽しみも半減どころじゃないって話ですよ。こういうせっかくの見せ所を台無しにしてしまうところも、今のFFブランドの失墜ぶりを感じます。