お気に入り度 Released Jun 1970 |
1.Speed King
2.Bloodsucker
3.Child In Time
4.Flight Of The Rat
5.Into The Fire
6.Living Wreck
7.Hard Lovin' Man
様式美的な分かりやすさや、「Smoke On The Water」「Burn」などの有名曲があることから、洋楽の入門としてよく聴かれるディープパープル。ただ同世代のレッドツェッペリンやブラックサバスに比べると、いかんせん立ち位置が一つ低い感じが。
洋楽入門向けということで、洋楽好きからはベタすぎてプッシュされないという理由もあるでしょうし、後生のバンドに対する影響力がその2バンドに比べると局地的だったこともあり、再評価されるタイミングも少な目だったのがそう感じさせるのでしょうか。
ただ今回紹介する『In Rock』はその2バンドのアルバムに負けず劣らずの、70年代ハードロックを代表する名作アルバムです。
そもそもレッドツェッペリンの音楽はブルース色が強かったり、音楽的な仕掛けを一捻り加えられたりしますし、ブラックサバスはテンポがゆったりでのっぺりしたサウンドですから、音楽に対して頭空っぽにしてノリノリというのが結構難しいんですよね。そういった要素がその2バンドの個性であるので仕方ない話なのですが。
一方この『In Rock』はドライブ感のあるサウンドで荒々しく演奏されているのが大きな魅力です。ボーカルやギターを始め、メンバー全員がここまでハイテンションに演奏しているロックアルバムも案外珍しい気がします。爽やかでクリーンな感じは一切ありませんが、聴き終わった後はある種の爽快感を覚えますし。
音楽を愛好する人は難解であったり高度なものを好みがちになりますが、『In Rock』は頭空っぽにしてハイテンションに突っ切るのがロックってものだろうと、そんなロックの原点を再認識させてくれる素晴らしいアルバムだと思います。
ディープパープルの代表作となると、有名曲が収録された『Machine Head』や『Burn』といったアルバムが選ばれがちですが、私にとってはこの『In Rock』こそがディープパープルNo.1作品であると信じて疑いません。『Machine Head』や『Burn』はやっぱり時代を感じるところがありますし、『In Rock』もそういう部分がありますが、『In Rock』はその代わりに音楽の熱気と攻撃性という、時代を超えた普遍的な魅力も封じ込められていて、これは後のディープパープル自身も再び持つことができなかった、このアルバムならではの魅力だと思います。
このアルバムを初めて聞いてから、すっかり長い時が経ってしまいましたが、私はいまだに楽しく聴いています。それもこのアルバムが持つ”凄み”がそうさせているのかもしれないですね。