Dead Flowers

B'z 「FRIENDS」

FRIENDS ジャケット

お気に入り度
★★★★

Released Dec 1992

Prologue. Friends

SCENE1. いつかのメリークリスマス

SCENE2. 僕の罪

2-2. Love is ...

SCENE3. 恋じゃなくなる日

SCENE4. SEASONS

SCENE5. どうしても君を失いたくない

6. いつかのメリークリスマス (Reprise)

91年から92年までのB'zは今思えばバラードの名曲率が凄まじく高い時期だったように思える。91年は「ALONE」「もう一度キスしたかった」、92年は「TIME」「月光」と、後にベストアルバムに収められるくらいの名曲がポンポンと出てきていて、作曲担当である松本のメロディ作りの全盛期はこの時期だったんだなと感じざるを得ない実績です。(編曲を含めた作曲の全盛期は『SURVIVE』の頃だと私は思っています)

この時期あたりからB'zの人気はうなぎ上りになっていましたが、ここまで良いメロディを書けていたらそりゃそうだよなと納得してしまいました。

そしてそのメロディ全盛期を締める名曲「いつかのメリークリスマス」を収めたのが、今回紹介するミニアルバム『FRIENDS』です。


このアルバムはアルバム全体を通して、ある1組の男女の経緯を描いたコンセプトアルバムで、「いつかのメリークリスマス」を軸に、別れや再会、葛藤を経て彼らが導き出した結末とは・・・!?というストーリーになっています。なので、今作では作詞担当の稲葉色が強い繊細な作風ですね。

とは言え松本の方も、冬を感じさせるクラシカルなアレンジで、稲葉の描くストーリーをしっかりお膳立てしていて、流石の職人芸です。トラック表記は「SCENE 〜」とまるで短編映画ののような趣で、インスト曲も挟んで没入感を上げたりと、映像の無いサウンドトラックと言っても良いかもしれません。

先ほど稲葉色の強い作風と述べましたが、書いていく内にむしろ松本色の強い作品なのかもと思うようになりました。前述の通りこの時期はバラード曲のメロディの出来がすごく良いので、バラード主体のこのアルバムは当時の松本の強みがすごく発揮されているんですよね。シンセの音などは時代を感じますが、「Friends」「SEASONS」といったインスト曲でさえも良いメロディですし。


「いつかのメリークリスマス」は何故ミニアルバムという地味な形式の1曲として収録してしまったのだろうか、B'z側はそこまですごい曲になると予想していなかったのかなと思っていましたが、シングルやフルアルバムの1曲だけには納まらない、ミニアルバムのコンセプト全体を決定づけるようなスケールの大きい1曲として考えていたのかなと、今思い直すようになりました。



ミニアルバムというのはどうしても軽視されがちですが、ロック色を薄くしてクラシカルに徹しているB'zを聞けるのはこのアルバムだけなので、フルアルバムだけでは分からない、別の角度からのB’zを堪能できる一枚です。

私は冬になるとクラシカルな曲が聴きたくなるのですが、原体験はこのアルバムかもしれない。そう考えると私にとってかなり影響力のデカい作品なのかも。