Dead Flowers

宮崎駿「風立ちぬ」

風立ちぬ ジャケット

お気に入り度
★★★★

Released Jul 2013

スタジオジブリの映画『風立ちぬ』を見てきた。ちょうど私の今の心境とリンクする部分があったりしたせいか、かなり面白く心に残る映画だった。一番印象的だったのは「人の創造的な期間は長くて10年だ。その期間、全力を尽くさなければならない。」という台詞。まさにこの台詞が映画のメッセージだったんじゃないかと思っていたりする。

創造的期間

一般的に仕事のできる人間、名が知られている人間などは20代から60代までコンスタントに良い仕事をし続けているイメージがあると思うが、実際はその中のせいぜい10年間くらいしか目を見張る仕事をしていないのではないかと私は思っている。例えばスポーツ選手はその最たる例で、彼らは20代から30半ばまでが体力・気力ともにピークの時期であり、その間にどれだけの実績を残せるかで、スポーツ選手としての評価が決まる。また芸術家も同様で創造的な期間の間、いかに多くの作品を残すことができるかが重要である。芸術家の場合、人々の感情を揺り動かすような新しい作品こそがクリエイティブな作品なので、そういった作品を作れるのもやはり20代から30半ばまでだと思う。それ以降では自分のスタイルが固まってしまい、斬新な作品を生み出すことは難しくなるから。

そういったピークの時期に大きな名声を得ることで、今後の仕事にも大きく影響していく。スポーツ選手なら引退後に指導者や解説といった仕事は有名選手だともらいやすいし、芸術家も創造的な期間の後の作品も注目・評価されやすい。スタジオジブリにしても『天空の城ラピュタ』『魔女の宅急便』『となりのトトロ』といった作品が評価されたことにより、スタジオジブリというネームバリューが出来上がり、今回の『風立ちぬ』という映画も注目され賛否両論巻き起こしたんだしね。作品の性質上『風立ちぬ』はスタジオジブリ作品でなければそれほど注目されないと思うし。

もちろんこれはサラリーマンといった普通の人たちにも当てはまることで、やはり新しいサービスや商品を生み出せるのは、経験と気力、体力が充実しているときだけだと思うし、もしその期間で大きな仕事を成し遂げたなら、今後のキャリアに大きく影響するのは言うまでもないこと。つまりこういった創造的期間という短い期間で、いかに全力で物事を取り組んでいくことかどうかで、自分の人生が大きく決まってしまうといっても過言ではないと思う。

私の場合も、今もしかしたら創造的期間の真っ最中なのかもしれないし、そうでもないかもしれない。実際のところ、今自分が創造的期間にいるかどうかなんて分からないだろうし、それは後で振り返ったときに分かることなのだろう。だから今この瞬間にできることと言えば、後悔なく全力で生き抜くことなのかもしれない。力を蓄える時期ならば、全力で知識などを吸収し、力を発揮する時期ならば、全力で自分がやれるべきことをやるといった具合に。


私の人生はまだまだ長い。けれども自分の力を最大限に発揮できる時間はそれほど長くない。そのことを常に心に留めておきたいと思う。