お気に入り度 Released 1972 |
1.Hallogallo
2.Sonderangebot
3.Weissensee
4.Im Glück
5.Negativland
6.Lieber Honig
70年代ドイツのクラウトロックバンドNEU!。(ネウ!と読もうものなら、近いうちに神罰が下ることでしょう)
このバンドは知る人ぞ知る名バンドでございまして、パンクやニューウェーブ、音響、テクノなどあらゆる方面からのミュージシャンに影響を与えるすごーいバンドなのであります。今回紹介するのは彼らの代表作と言われるファーストアルバム。
数ある名ミュージシャンが絶賛しているということで、私もすごく期待して聴いてみたのですが、聴こえてくる音は、執拗に同じようなフレーズを繰り返す8ビートのドラム(人力)に、音響的なギターや効果音がヒョイと乗るだけというスッカスカな音楽。たまにミュージックコンクレート風の実験音楽が入ったりもしていて、「ほんまドイツ人のやつらは訳わからんわ」と、よろしくない偏見を持つこと請けあいのとっつきにくい音楽です。
そんなわけで、このアルバム一度聴いてそのまま聴かなくなってもかまいません。ただあなたが音楽ファンであるならば、半年後や1年後、2年後にもう1度聴いてみてください。現在の音楽に通ずる要素や、先駆性、または彼らならではの個性を感じ取れるようになり、最初に聴いた時とは違った感想を持つかもしれません。まるでタイムカプセルのようなスルメアルバムと言えるでしょう。10年後の私へ、もう100億円稼いでいるでしょうか?
1曲目の「Hallogallo」は音楽性を始め、色々と解釈できる名曲です。同じビートをひたすら繰り返しているのですが、シーケンサーとは違い人力ドラムなので微妙にリズムがヨレていて、それが心地良かったり。あとワンコードでずっと同じ展開が延々と続くことで、永遠に終わらないかのような陶酔するサイケ感が感じ取れます。ほんとすごい。
あと最後の「Lieber Honig」は驚きです。何歌っているか分からないヨレヨレの鼻声が前面に出るという迷バラードで、悲しいのか切ないのか、言葉にできない気持ちになります。こんな曲を世に出す精神がすごい。ほんまドイツ人のやつらは訳わからんわ。
今ではすっかり大好きな NEU!ですが、彼らのすごさというのは曲の展開やアレンジ、言葉といった音楽の要素を極限までに削ぎ落とし、純度の高い音楽を表現したところにあるのではないかと思います。今でもそういう点においては彼ら以上に成し遂げたミュージシャンはいないのではないでしょうか。
こう書いた割にこのアルバムの評価が微妙な感じなのは、2曲目から4曲目まではミュージックコンクレート風の実験音楽が続いていて、そこがかなりハードルが高いなと。ノイ!を聴こうとする人は、「Hallogallo」の音楽を期待してるのが大半だと思いますが、そんな曲はこのアルバムだと5曲目の「Negativland」くらいですしね。とは言えこの曲もかなり実験性が強い曲ですし・・・そして6曲目は鼻声のアレ。正直私も最初はかなりきつかったっす。ただここまで実験的で意欲的なアルバムってそんなに多くないと思うので、慣れたら結構面白く聴けるアルバムかと。