お気に入り度 Released March 1988 |
1.Bone Machine
2.Break My Body
3.Something Against You
4.Broken Face
5.Gigantic
6.River Euphrates
7.Where Is My Mind?
8.Cactus
9.Tony's Theme
10.Oh My Golly!
11.Vamos
12.I'm Amazed
13.Brick Is Red
ロックという音楽は、やはりネガティブな要素がないといけません。劣等感やコンプレックスが激情に変わることでロックというのは深みを増すものだと私は常に思っています。その辺のチャラ男が女をひっかけてパーリーピーポーというロックなんて、いくらかっこいい音を鳴らしていても、それは薄っぺらいものにしかならないのではないでしょうか。
今回紹介するPixiesはボーカルがデブ・ハゲ・ブサイクと数え役満な風貌(あと性格も難あり)を持ちながらも、誰よりもかっこいいロックを鳴らしたバンドです。活動期間は80年代後半から90年代前半と短いながら、後進のバンドに大きな影響を与えています。
ピクシーズの魅力として、静と動のメリハリをつけた曲展開とかがありますが、私はもっと包括的な捉え方をしていまして、単純に曲展開が変態的なんですね。フックが効きまくっているというか。予測がつかない方向に曲が進んでいくので、聴いててすごく楽しくなってくる。
ピクシーズは2ndアルバムの『Doolittle』が代表作としてよく挙げられますが、上記の点で私はむしろデビューミニアルバムの『Come On Pilgrim』や今回紹介する1stアルバムの『Surfer Rosa』の方が好きですね。バンド全員がアイデアやアレンジに練り込む余裕があったからなのか、どれ一つとして同じような曲はないと言っていいほど。3分未満の曲がほとんどながら、短さをまるで感じさせないほどのアイデアたっぷりな曲の数々です。そういった意味で2ndアルバム以降は(ピクシーズにしては)真っ当なロックになってしまって、その点が私にとって残念かなと思っています。
で、『Surfer Rosa』ならではの魅力は、スティーブ・アルビニの迫力ある録音でしょう。ピクシーズのひん曲がった個性を増幅させるような見事な音像を作り上げています。加工した感じがまるでない、すごい生っぽい音になっています。アルビニ先生のベストワークではないでしょうか。
1曲目の「Bone Machine」のイントロのドラムを聴けば、私の言いたいことが全て分かるはずです。ヒリヒリした感触がまさにロック!!って感じですね。